校長挨拶

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宮城県貞山高等学校 校長 佐藤 彰彦

 

 

 4月の初めに私用で東京に出かけた際、街を歩く外国人の多さに驚き、ポストコロナの時代に突入しつつある現実を実感しました。新型コロナウイルスはまだ収束していませんが、長期間に及んだ感染拡大は、私たちの生活だけでなく価値観さえも変化させています。人同士が関わる際にも、マスクをして表情が分からない状況での関係に慣れ、マスクを外すのを怖がっている人もいるそうです。教育の場である学校が果たすべき役割は、今後こそ大事になっていくと思われます。

 もちろん今までも社会の変化に対して、学校教育は常に対応してきました。本校の開校は昭和53年です。その年に成田国際空港が開港したように、日本の「国際化」が進んだ時期で、その後数年で日本は世界第2の経済大国になったのでした。豊かさと虚しさの間で方向を見失いそうになる生徒達に、学校は寄り添っていました。本校が単位制を導入し、昼間部を設けたのは平成2年です。日本ではバブル経済が崩壊し始め、その後深刻な不況を招くこととなります。将来への不安や無力感に苦しむ生徒達を、学校は一緒に悩みながら支援していました。今後も社会の変化に対応しつつ、学校は生徒達に寄り添い続けるでしょう。

 しかしながら、その変化は急激です。AIの活用、気候変動、少子化等、それらの急激な変化に対応していくのは容易なことではありません。今後の社会においては、我々個々の主体性がとても大事になります。自分を知り、自分で考える力が求められます。本校の教育目標には「自主・自立の精神を尊び、自由と責任を重んじ、創造性豊かな人間の育成を図り、社会の向上・発展に寄与できる人間を育てる。」とあります。そこに掲げているような資質が、まさに必要とされているのです。

 現在、本校では様々な教育活動を工夫しているところです。多様な選択科目を少人数で開講し、教材の工夫やICT機器の活用による分かる授業を実施。昼・夜間併修や定通併修の制度を用意し、生徒のニーズに対応。充実した教育相談体制による個を大切にした指導。通級指導の自校化による単位認定。手厚い進路指導による卒業後の望ましい勤労観の育成と、大学進学から民間就職までの希望に応じた進路決定の支援。委員会活動や部活動の場の確保と、各種大会における活躍の支援。年間を通して計画的に実施される探究活動。社会人の科目履修生と一緒に受ける授業。どれをとっても、教育目標を実現するための充実した教育活動であろうと自負しています。

 昭和62年に宮城県の「教育改革研究委員会」で具体化した「単位制高等学校基本構想」には次のような文言があります。「あらゆる面で多様化・高度化する現代社会の中では、内容もレベルも様々な学習ニーズが存在しており、それらを受け容れる新たな学習機会の創設が期待されている。」時代は変わっても、単位制高校としての変わらない役割を踏まえ、新しい時代にも対応していけるよう、全職員が一丸となって貞山高校ならではの教育活動を充実させていきたいと思います。今後とも本校の教育活動に御支援と御協力を賜りますことをお願い申し上げます。

                                    令和5年4月